設備投資の優遇税制活用(経営強化税制・先端設備等導入計画)

補助金や設備投資による法人税・償却資産税は増加します

補助金は、事業完了後に振り込まれますが、それは特別収入(もしくは営業外収入)となります。そのため、入金時の利益が増加し、法人税のご負担が増える可能性があります。
新事業など補助金を活用した投資で事業を成長することができると、収益が高まって法人税を納める資金を確保する必要も出てきます。
また、補助金を活用するかどうかにかかわらず、多額の設備投資やITシステム導入などでは、固定資産(償却資産)が増加するため、取得価格に応じた償却資産税(固定資産税)が継続的に発生します。

設備投資を検討される経営者様にとって、税制優遇や補助金は資金繰りを大きく左右する重要なポイントです。しかし、制度が複数あって違いがよくわからない、自社にどのメリットがあるのか見えにくい、という経営者もおられるのではないでしょうか。

本記事では、特にご相談の多い「中小企業経営強化税制」(法人税の優遇)と「先端設備等導入計画」(固定資産税の優遇)を中心に、令和7年・8年度の最新の改正内容も踏まえて、わかりやすく解説します。

法人税と償却資産税のご負担が増えることに

固定資産取得時の優遇税制を検討しましょう

設備等への投資による固定資産取得時における法人税、または償却資産税(固定資産税)の優遇税制があります。現在、主に3つの制度があります。大型投資をした場合は、これらの優遇税制の活用を検討しましょう。固定資産取得前に手続きが必要な制度もありますため、事前にこれらを検討しましょう。

優遇税制 ① 中小企業経営強化税制 ② 先端設備等導入計画 (固定資産税特例) ③ 中小企業投資促進税制
対象税金 法人税(個人事業主は所得税) 固定資産税(償却資産税) 法人税(個人事業主は所得税)
主なメリット 投資額の即時償却(100%)または 取得価格の7%〜10%の税額控除 3〜5年間、固定資産税が1/2〜1/4に軽減 投資額の30%特別償却または 7%の税額控除※(※) 「税額控除」は、資本金3,000万円以下の中小企業者等または個人事業主のみが対象
必要な手続き 【必ず設備取得前に完了】1. 適用類型に合わせた書類(工業会証明書等)2. 認定支援機関のサポートによる経営力向上計画策定3. 所管省庁の認定 【必ず設備取得前に完了】1. 認定支援機関による計画の「事前確認書」2. 従業員への賃上げ表明3. 市区町村からの認定4.賃上げの表明(1.5%以上)が必須 【事前の計画認定は不要】取得・事業供用後に、確定申告書に明細書等を添付して申告※購入前に要件確認をすること
申請先 事業を管轄する省庁(近畿経済産業局など) 設備を設置する市区町村(大阪市など) 管轄の税務署(確定申告時)
期限 2027年(令和9年)3月31日まで 2027年(令和9年)3月31日まで 2027年(令和9年)3月31日まで
当方の支援 経営力向上計画策定支援 先端設備等導入計画・事前確認書作成

収益や資金繰りの予定を見越した選択を

優遇税制では、即時償却や税控除といった優遇について選択ができます。
今期の法人税を大きく圧縮し、手元にキャッシュを残したい場合は即時償却(設備投資した全額を、その年の経費(損金)として一括で計上)、経費計上(減価償却)は通常の年数で行いながら、トータルでの税額負担を確実に減らしたい場合は、税控除、といった企業様の経営状態や意向によって判断することが重要です。

失敗しないための「手続き」2つの大原則

制度を活用するためには、以下の2点にご注意ください。

大原則1:事前認定が「必要な制度」と「不要な制度」を使い分ける

  • ①・②を狙う場合(メリット大): 必ず「設備を取得(発注・納品)する前」に国の認定を受ける必要があります。「設備を買ってから税理士に相談した結果、最大の優遇が受けられなかった」という失敗ケースが非常に多いため、検討を始めた段階で早めに動くことが重要です。

  • ③を狙う場合(メリット中・手間小): 計画の事前認定は不要です。「すでに設備を発注してしまった」「決算間近で計画認定を待つ時間がない」といった場合の救済措置(セーフティネット)として非常に重宝する制度です。

大原則2:「認定経営革新等支援機関」を頼ること 最大のメリットを得られる①や②の手続きは、自社単独で進めるのは非常に困難です。国が認定した専門家である「認定経営革新等支援機関(当事務所など)」が以下のように関わります。

  • ① 中小企業経営強化税制の場合 対象となる設備にはいくつかの「類型(A〜D)」があり、要件が異なります。例えば一番利用しやすいA類型(生産性向上設備)では、事前に設備メーカー等から「工業会等の証明書」を取り寄せる必要があります。こうした複雑な要件整理と「経営力向上計画」の策定サポートを専門家が行います。

  • ② 先端設備等導入計画の場合 計画を市区町村に提出する前に、必ず認定支援機関が内容をチェックし、「事前確認書」を発行することが法律上の必須要件となっています。

経営者様が検討すべきアクション

中小企業経営強化税制と先端設備等導入計画は、「設備を購入・発注する前」に計画の認定を受けることが必須です。

  1. 導入設備のリストアップ: まずは購入予定の設備と金額、時期を整理しましょう。

  2. 現状の課題と目標の整理: 投資によってどれだけ生産性が上がるか(または賃上げが可能か)を大まかにシミュレーションします。補助金を活用されている場合は、賃上げは要件とされていることが多いので条件をクリアしていることが多いかとは思います。

  3. 専門家への早期相談: 計画の作成から認定まで1ヶ月〜2ヶ月程度かかる場合があります。お早めに顧問税理士や当方のような認定支援機関へご相談ください。

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